―しがない農学徒の雑記帳―

しがない農学徒が日々思うところを書き散らします。

項目

視感度曲線の描き方

昆虫の色覚にまつわる行動を研究する上で、光線のどの波長成分をどれだけ視細胞が吸収するかを表す視感度曲線は最も重要なものです。これは実測できれば良いのですが中々そうはいきません。しかし、視感度曲線の近似式は D. G. Stavenga (2010) により与えられており、これにより、最大吸収感度を与える波長(最大吸収波長)が分かれば視感度曲線を描くことができます。いくつかの昆虫について、視細胞の最大吸収波長はA. D. Briscoe et al (2001) (あるいはhttp://cichlid.umd.edu/cichlidlabs/kc/Teaching/Visionpdfs/Briscoe2001.pdf)にまとめられています。すなわち、ある昆虫の視感度曲線は、その近縁種の視細胞の最大吸収波長を A. D. Briscoe (2001) で調べ、それを D. G. Stavenga (2010) の近似式に代入することで得る事が出来ます(色々な仮定を許容した上で、ですが)。これを計算する R スクリプトを書きましたので公開します。

#視感度曲線を計算する関数
Sensitivity<-function(lambda_max){
x<-log10(seq(200,700)/lambda_max)
x2<-log10(seq(200,700)/350)
Sa<-exp(-380*(x^2*(1+6.09*x+(3/8)*(6.09*x)^2)))
Sb<-0.29*exp(-247*(x2^2*(1+3.59*x2+(3/8)*(3.59*x2)^2)))
S<- (Sa + Sb)/max(Sa+Sb)
return(S)
}

#ミツバチ Apis mellifera の視感度近似曲線を描画してみる。
lambda<-seq(200,700)
plot(lambda, Sensitivity(328), type="l", xlab="Wavelength (nm)", ylab="Normalized sensitivity") # 紫外光吸収型視細胞
lines(lambda, Sensitivity(436), type="l") #青色光吸収型視細胞
lines(lambda, Sensitivity(532), type="l") #緑色光吸収型視細胞