―しがない農学徒の雑記帳―

しがない農学徒が日々思うところを書き散らします。

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形式概念分析 ―将棋の駒を例に―

2015/02/09

人類は様々な対象を分類してきました。自然科学であれば生物の分類、化合物の分類など、社会科学であれば、政体の分類(民主政とか君主政とか?)、人文科学では品詞分類など。分類するという行為は学術の基盤と言っても良いかもしれません。

ところで、分類とは如何なる行為でしょうか。これは非常に難しい問いであると思いますが、例えば、ポチをイヌという種に分類する、という様に、対象(ここではポチ)をある概念(ここではイヌ)に対応づける事と言えるでしょう。では、概念とは何でしょうか。これもまた難しいのですが、例えば、「日本人」という概念を示すには次の2つの方法があると思います。

の二種類があると思います。すなわち、概念は、その概念に対応する個物と、その個物が有する性質の組み合わせで規定されると言えるでしょう。あるいは、概念を理解するという事は、その具体例を列挙できるという事と、性質を列挙できるという事でありましょう。

教育において、様々な概念を理解させる必要があります。さらには、概念同士の関係をも把握させる必要があります。多くの場合において、物事は図示した方が理解しやすいと思われますが、概念の学習の場合も同様です。概念同士の関係を視覚化したものとして、概念地図法があり、これは理科教育等において成功例が報告されています。ここでは、知名度は低いものの、うまく使えば有用であると思われる、形式概念分析を紹介します。

形式概念分析では、ある対象がどのような性質を有するか、が視覚化されます。ここでは、将棋の駒を例に説明します。将棋の駒は、表に示される挙動をします。
将棋の駒の動き方
ここで、概念とは王や歩といった各駒を、性質とは前に動くとか桂馬飛びをするといった挙動に対応します。大は小を兼ねるという言葉がありますが、王の動きは歩を兼ねるように、各駒の間には「兼ねる」という関係が存在します。この「兼ねる」関係に基づき、各駒を整理し図示したのが次の図です。

この図は、各駒(白色)及び挙動(灰色)の関係が示されています。例えば、飛車は上にある香車と歩を兼ねます。また、金のもつ性質は、上に伸びた線を辿っていくと左右前後と斜め前に進めるという事が分かります。駒をこのように整理することで、駒の挙動を覚える際の一助になるかと思われます。

実際には、図の見方を理解するのはコツがいるかもしれませんが、気体の分類や、図形の分類(例えば四角形の分類)など、教育において適用できる場面は多いと思われます。

参考文献